カバー画像

山極寿一 、鈴木俊貴『動物たちは何をしゃべっているのか』を読んだ

読んだ。

前京都大学総長で霊長類学者の山極壽一先生。そして今年、東京大学先端科学技術研究センターで動物言語学研究室を立ち上げた鈴木俊貴先生。本書は、この二人による動物や言語の話題を中心とした対談本。

動物言語学という分野は今ホットなジャンルで、鈴木先生が創設した学問分野と言って差し支えないと思う。従来の研究では動物の鳴き声は感情の発露とされていたところ、鈴木先生はシジュウカラの観察を通して動物の鳴き声に意味や文法、すなわち「言語」が存在することを発見した。


自分は野鳥が趣味で、鈴木先生の研究に興味があって本書を手に取ったものの、あくまで対談本なのでそのあたりを深く知りたい人には向いてないと思う。

鈴木先生の研究やシジュウカラの言葉について知りたいなら、ゆる言語学ラジオの鈴木先生ゲスト回がわかりやすい。シジュウカラの鳴き声も音声で聴ける。


本書の魅力は「第一線の研究者が世界をどのように捉えているか」を知ることができる点だと思う。

対談の中で動物の言語や生態に関するさまざまな事例や研究が出てくるんだけど、お二人とも自身の専門領域外に関しても知識が深くてびっくりする。そして誰よりも動物たちのコミュニケーションを見つめてきた二人だからこそ、人間のもつ社会や言語の特異性が見えてくる。

対談本だけあってサラッと読めた。参考文献にはさまざまな動物関係の書籍が挙げられているので、本書を入口として動物言語学の世界に足を踏み入れてみると楽しいかも?